This is a variable
sokutei.jpg

通信データレベルでの品質評価方法
(光ファイバ通信の基礎その7)

光ファイバ通信の基礎その1はこちら
光ファイバ通信の基礎その2はこちら
光ファイバ通信の基礎その3はこちら
光ファイバ通信の基礎その4はこちら
▶光ファイバ通信の基礎その5はこちら
▶光ファイバ通信の基礎その6はこちら

今までは光ファイバ通信で使われる各要素、デバイスについて見てきましたが、今回は実際に光信号を通したときの評価方法を見ていきたいと思います。

(1)サンプリングオシロスコープ
 光信号は0と1のデジタル信号で送られます。この信号を評価する一つの方法として、サンプリングオシロスコープによる評価があります。
サンプリングオシロスコープは過去の “サンプリングオシロスコープのEyeパターン、どう見る?” という記事で詳細を紹介していますが、
図7-1のように、信号の0と1がきちんとしたレベル、時間で送れているかを波形として評価する測定器です。
波形を見たとき十分に目(eye)が開いてなかったり、ジッタが多い場合は、エラーとなる可能性が高いので、改善しなければならないというのが分かります。 

 このような現象はO/E変換するドライブ回路の周波数特性との関係が深く、次のような現象の場合は、ネットワークアナライザでも評価することができます。
・立上り/立下り時間が長く、十分に目が開いてない
   → S21で周波数帯域が伸びておらず、不十分である可能性あり
・立上り/立下りでオーバーシュートやアンダーシュートが発生
   → S21の周波数特性で、高周波域が持ち上がったようなピーキングが発生している可能性あり

202111測定のツボ図7-1.png

7-1 サンプリングオシロスコープによる波形評価の例


(2)ビットエラーレート測定器(BERT)
 このサンプリングオシロスコープでの評価は、全ての波形データを取り込んでいるわけでなく、ある間隔でサンプリングしたデータを重ね書きして評価する方法です。
そのため、サンプリングに漏れたデータを取りこぼしている可能性があり、波形だけを見てエラーフリーであると判断することはできません。

表7-1 データ評価による差異

202111測定のツボ図7-2.png



  そこで必要になってくるのがビットエラーレート測定器(BERT)です。
これも過去の “BER(ビット誤り率)って、どうやって測るの?”という記事で詳細を紹介していますが、この方式では全てのデータを取り込んでエラーをカウントしているので、サンプリングオシロスコープのように取りこぼすことはありません。
 光ファイバ通信では、基本的にはエラーが無いことが要求されます。
そのため、光ファイバ通信で用いられる部品、モジュール、媒体などは、このビットエラーレート測定器(BERT)でエラーフリーを確認することが多いです。
 特に、最近の高速化によりエラーが発生しやすくなっているので、ビットエラーレート測定器(BERT)の需要は高まっています。

(3)通信システムを含めた評価
 では、EthernetアナライザやOTNアナライザなどの通信システム装置を含めた回線を評価する場合も、ビットエラーレート測定器で行えるのでしょうか?
答えはNOです。 

通信システム装置間で使用される通信規格では、受信側でデータを受信する際に必要なクロック信号をデータラインとは別ラインで送信することはできません。
このため、送信側から、データの0、1の出現率がそれぞれ50%になるように送信し、受信側で、そのデータからクロックを再生し、データを受信できるような仕組みになっています。
これを実現するために、送信側では、送信するデータに、エンコードあるいはスクランブル演算をし、演算処理後のデータの0、1の出現率がそれぞれ50%になるように符号変換を行います。
その後、送信元、宛先情報(アドレス情報)を含むフレーム(フレーム形式は規格ごとに異なります)に載せて送信しています。
 

また、この符号演算と共に、パリティ情報を付加することにより、エラー訂正可能な通信規格もあります。
このような規格の場合、伝送路上で、ビットエラーが発生した場合、付与されたパリティ情報をもとに、受信側でエラー訂正(FEC機能)が可能となり、長距離伝送でも通信品質を確保できる仕組みになっています。 

このように、実際の通信システム装置では、送信するデータを処理して伝送媒体に信号を出力しており、汎用的なビットエラーレート測定器(BERT)では、データを復元できないため、測定を行うことができません。
通信システム装置を含めた回線品質評価を行う場合、それぞれの通信規格(Ethernet、SDH/SONET、OTNなど)のインタフェースを持ったアナライザを使用することになります。

※本記載内容は2021年11月1日現在のものです。


 <関連ソリューションページのご紹介>

 download.jpg - 1  高速・高感度で、生産効率アップ サンプリングオシロスコープ

 download.jpg - 1  BERTソリューション:PCI、400GやPAM4の評価に

 download.jpg - 1    業界最小クラス100Gネットワークテスタ MT1000A

 download.jpg - 1  業界最小クラス400Gネットワークテスタ MT1040A




◆ お問い合わせ先
――――――――――――――――――――――――――――――――――

アンリツ株式会社 通信計測カンパニー グローバルセールスセンター 通信計測営業本部 第1営業推進部

Mail_inquiry.png




-