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光損失測定ってどうやったら良いの? (光ファイバ通信の基礎その2)
   

光ファイバ通信の基礎その1はこちら

その1でご説明したように、光ファイバは低損失で伝送できますが、材料がガラスで、非常に狭いところを光が通っているので、取扱い方や接続の仕方によって損失が発生しやすいです。大きな損失が発生すると、光信号が急激に弱くなり、受信できなくなってしまうという問題が起こります。
そこで必要になってくるのが、光ファイバの損失測定です。今回は光損失の具体的な測定方法についてご紹介します。

(1)測定手順
光ファイバだけでなく、光デバイスの光損失測定では図2-1のように光源と光パワーメータを使い、測定対象物に入力するパワーと通過して出力されるパワーを測定し、その差を演算して算出します。
手順は次の流れになります。

先ず、損失が0dBと見なせる校正用コードを接続してPinを測定します。
   次に、校正用コードを測定対象物に入れ替えてPoutを測定します。
   最後に、PinPoutの差を演算して光損失として算出します。

202105測定のツボ図2-1.png図2-1 光損失の測定方法


面倒だな…と思われるかもしれませんが、精度良く測定するためには必要な手順です。
光源の出力パワーはメーカ、モデル、機器ごとに違うので、先ず光源の出力パワーがいくつかを測定する必要があります。
また、光源の出力端に入射コードを、光パワーメータの入力端に終端コードを接続しますが、なぜこれらのコードが必要かというと、光源や光パワーメータ端の接続再現性が良くないので、これらのコードを介して接続再現性を向上し、測定精度を上げるためです。

(2)光パワーメータのゼロ点校正
光パワーメータを精度良く測定するための注意点としてゼロ点校正というのがあります。
入力端に光が入らないようにコネクタキャップなどを被せてゼロ点校正ボタンを押します。すると、数秒後に完了という表示が出てきて校正が完了します。 
この機能は、光が入っていない状態のレベルを基準にして光パワーを算出するというもので、これが正確に行われないとゼロのレベル(オフセット)がズレて、図2-2のように正確な値にならなくなる事があります。
入力パワーが大きいとオフセットの影響を受けにくいのですが、入力パワーが小さいと影響を受けやすい傾向になります。また、光が入っている状態でゼロ校正ボタンを押すと、オフセットの量が大きくなり、高いレベルでも影響 を受けやすくなります。レベルが下がっているはずなのに、数値の変化が少ないと感じたときなどは再度ゼロ点校正を行ってみてください。
試しに光が入っている状態でゼロ点校正を行ってみると、数値の異常度合いに驚かれると思います。

202105測定のツボ図2-2.png図2-2 パワーメータ指示値のオフセットによる影響


(3)光パワーメータの波長設定
光パワーメータの設定で波長(λ)という項目がありますが、この波長設定の意味を多くの方が誤解されていらっしゃいますので、ここで説明したいと思います。
この機能は設定した波長だけのパワーを測定するのでなく、設定された波長の感度補正を行い絶対値を正確に表示するというものです。
光パワーメータの受光素子の変換効率には図2-3に示すように波長特性があります。絶対値を表示する光パワーメータではこの差分を補正して表示する必要があります。
そこで、どの波長の光が入力しているのかを指定するのがこの波長設定機能です。
2-3の例のように、指定された波長(例ではd850d1550d1625) での補正を行い、絶対値として正確に表示するのが、この機能です。
汎用の光パワーメータでは設定できるのが1波長のため、入力する波長が1種類であれば、その波長を指定して絶対値補正できますが、複数の波長が入力された場合は補正できません。
設定波長を変えると指示値も変わるので波長ごとのパワーを測定していると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは感度補正値が変わった事により指示値が変わったという事です。試しに入力した波長以外の波長を設定してみると、その波長ではパワーが入っていないのに数字が表示されると思います。おかしいですよね。
波長ごとのパワーを測定するには波長ごとにパワーを分割して測定できる光スペクトラムアナライザが必要になります。

202105測定のツボ図2-3.png

図2-3 フォトダイオードの変換効率の波長特性例


(4)変調周波数設定
光源は損失測定だけでなく心線対照でも使われます。この心線対照とは、局舎と局舎の間に多芯の光ケーブルが敷設されており、その心線番号を間違えないために、片側から確認したい心線に光を入射して反対側で光が来ているか否かを判別する事で対の心線を判別するというものです。
心線対照を行うとき、270Hzの変調をかけて行う場合があるかと思います。なぜ、このような変調をかけるのか疑問に思ったことはありませんか?
変調ではCW, 270Hz, 1kHz, 2kHzといった周波数を選択できます。CWは連続発光(Continuous Wave)無変調という意味です。
更には270Hzって、なぜこのような中途半端な周波数なのか疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
変調をかけるのは、測定線路に外来光が入っても影響を受けないようにするためです。
白熱球の照明(外来光)が測定線路の光ファイバに漏れ込むと、白熱球の電源周波数(東日本は50Hz、西日本は60Hz)成分が入り込み、光パワー測定が不安定になるため、50, 60Hzに同期しない周波数として270Hzが選ばれています。


                                                                                          ※本記載内容は2021年5月1日現在のものです。


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光ロステスタ(OLTS)、光源(OLS)、光パワーメータ(OPM)は、光ファイバの施工・保守時における光パワー測定、光損失測定を行うフィールド用測定器です。光アクセス、CATV、コア、メトロそして光LANなど光通信の現場でお使いいただけます。

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