サンプリングオシロスコープのEyeパターン、どう見る? (その1)
1Gbps 以上のデジタルデータ伝送テクノロジを扱うシステムマネージャやエンジニアにとって、
Eye パターン計測の基礎を理解しておくことは非常に重要です。
伝送されるデジタル信号波形が規格に適合しているか否かを、サンプリングオシロスコープを用いて検証(合否判定)
するのが一般的です。
この測定ではEyeパターンから、信号のジッタ、規定マスクへのマージンなど波形品質を解析することができます。
本号および次号の二回に渡り、そんなEyeパターンの基本的知識について、ご紹介いたします。
1.Eyeパターンとは
デジタル信号の論理”1”信号と論理”0”信号、および信号が遷移する様子(0→1、1→0、1→1、0→0)を
サンプリングオシロスコープで重ね書きした波形が「Eyeパターン」です。
この波形が人間の目(Eye)の様に見えるため、「Eyeパターン」と呼ばれています。
ICや光モジュールおよび伝送装置が出力する信号を「Eyeパターン」で確認すると良否判定ができます。
図1.デジタル信号とサンプリングオシロスコープの波形の関係
(画像はクリックして拡大可能)
2.Eyeパターン解析の原理
ICや光モジュールおよび伝送装置が出力する信号は、接続先のIC/光モジュール/伝送装置が「1→0、0→1、1→1、0→0」
の信号遷移を認識しやすい様な信号であるべきです。そのために求められることは以下になります。
- 出力信号の「0→1」や「1→0」に遷移する時間が短い(立ち上がり時間、立ち下がり時間が短い)
- 出力信号の時間的なズレや揺らぎが少ない(ジッタが少ない)
- 出力信号の振幅変動が少ない
これらはサンプリングオシロスコープを使ってEyeパターンを確認することで解析することができます。
2.1 立ち上がり時間(Rise Time),立ち下がり時間(Fall Time)
「0→1」に遷移する時間は、一般的に「立ち上がり時間」や「Rise Time」、および「Tr」と呼ばれています。
そして「1→0」に遷移する時間は、一般的に「立ち下がり時間」や「Fall Time」、および「Tf」と呼ばれています。
一般的にIC/光モジュール/伝送装置が出力する信号は、立ち上がり時間(Rise Time、Tr)を、
「振幅の20%のレベルから80%のレベルに遷移する時間」、
もしくは
「振幅の10%のレベルから90%のレベルに遷移する時間」で規定しています。
同様に立ち下がり時間(Fall Time、Tf)も
「振幅の80%のレベルから20%のレベルに遷移する時間」、
もしくは
「振幅の90%のレベルから10%のレベルに遷移する時間」で規定しています。
図2.波形における 立ち上がり時間(Tr)、立ち下がり時間(Tf)
*1:90%または80%
*2:10%または20%
(画像はクリックして拡大可能)
2.2 ジッタ
出力信号に時間的なズレや揺らぎが多い場合、Eyeパターンの時間軸方向の線が太くなります。
図3.ジッタが少ない波形 図4.ジッタが多い波形
(画像はクリックして拡大可能)
この線の太さをジッタ(Jitter)と呼び、アイパターンの立ち上がり部分の波形と立ち下がり部分の波形が交差する点を
測定することで求められます。
一般的にジッタはp-p(Jitter p-p)やRMS(Jitter RMS)という値で規定されています。
図5.ジッタ(Jitter)の定義 p-p(Jitter p-p), RMS(Jitter RMS)
(画像はクリックして拡大可能)
今回はここまでです。
次回は引き続き、Eye開口、Eyeマスク適合性試験についてご紹介いたしますのでお楽しみに。
※本記載内容は2017年3月1日現在のものです。
→ [引き続きその2を読む]
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