光ファイバの故障はどのように調べるの? (光ファイバ通信の基礎その3)
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光ファイバはガラスですから、折れたり切れたりしやすいのでは?光線路の故障(断線、損失増加)が発生すると、その故障した場所をどのように探索しているのだろうと疑問に思ったことはありませんか?
(1)様々な危険にさらされている光線路
光ファイバはガラスでできているので、台風や火災などで断線するという話は聞いたことがあると思いますが、それ以外にも図3-1のような生物による被害が発生しているようです。
カラスが電柱に固定されているクロージャから出ているケーブルを枯れ枝と間違えて曲げて断線というニュースや、クマゼミが家への引込線に卵を産み付けるために産卵管を差したときファイバが折れて断線するという問題が発生し苦労されたという話もありました。
(現在はクマゼミ対策の引き込み線が開発されています。)
(2)光パワーメータだけでは大変
このような故障個所は早急に復旧しなければなりません。倒木などで明らかにケーブルが切れている、切れかかっているという場所はそこに行けば外観で分かりますが、クマゼミが産卵管を差した場所などは外観で検知するのは至難の業です。
通信していれば光が来ているのだから光パワーメータで光がどこまで来ているか追いかけていけば良いと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、短距離であればまだしも、数百m、数kmと長い距離だとチェックする箇所も多く、しかも電柱の上などにあると簡単には行えません。
そこで威力を発揮するのがOTDRという測定器です。
OTDRでは光ファイバがどこまでつながっているか、損失が大きいところはどこかというように光ファイバの長さ方向の状況を簡単に確認することができます。
図3-2のように、片方(ユーザ宅など)からOTDRで測定するだけで、何十m先までしか光ファイバが無い、何百m先で損失が大きく出ている、などという状況を簡単に判別できます。
図3-2 故障位置探索例
(3)OTDRとは
OTDRはOptical Time Domain Reflectometerの略で、日本では古くから光パルス試験器と呼ばれています。
図3-3に示すように、光源と光パワーメータでは、実際に光パワーが減衰する量を測定しますが、長さに関する情報は測定することができません。
OTDRは長さ方向の損失を測定でき、精度は劣りますが損失値を測定することもできます。
図3-3 フォトダイオードの変換効率の波長特性例
(4)光線路監視システム
光線路を所有、管理されている事業者様では、回線障害が発生したら直ぐに復旧させなければならないので、光線路を常時監視するシステムを導入されているところが多いです。
このシステムでは基本的にはOTDRで定期的に線路測定し、敷設時に取得したデータとの比較で差異が発生したところを障害発生の位置と判断するような仕組みで監視を行っています。
OTDRは片端から測定できるので、このようなシステムでも利用されています。
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■ 最後に、確認クイズです!
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問題:動物によって傷つけられた光ファイバの断線箇所を特定するのに最も効率的で有効な手段はどれでしょう?
- ユーザ宅側からOTDRで損失が増えている箇所を検出する。
- 光パワーメータで光が届いているかどうかを移動して順次探索していく。
- 地中や電柱の上などどこまでも光ファイバをたどって自分の目で確認していく。
正解者の中から10名様にアンリツ特製「真空2重構造ステンレスタンブラー330ml」を差し上げます。
*当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。
ご回答の際、今後のコラムで取り上げて欲しいテーマやご感想なども添えていただけると幸いです。
▶ クイズの回答はこちらから 終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。
締め切り2021年7月7日(水)。 みなさまの回答お待ちしております。
※本記載内容は2021年6月1日現在のものです。
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