無線設備規則<第3弾> ~ 隣接チャネル漏えい電力 ~
参考: 無線設備規則 <第1弾> ~周波数の許容偏差~
無線設備規則 <第2弾> ~占有周波数帯幅~
隣接チャネル漏えい電力とは?
無線設備規則は、周波数、占有周波数帯幅、スプリアス発射、空中線電力、隣接チャネル漏えい電力など無線設備等に関する条件を規定する総務省令です。
第3弾では、隣接チャネル漏えい電力についてご紹介します。
隣接チャネル漏えい電力:
隣接チャネル漏えい電力は、文字通り「隣りに接するチャネルに漏えいしている電力」です。
周波数の回(第1弾)でお話したとおり、それぞれの無線設備は利用してよい周波数帯が割り当てられており、さらに複数の機器が同じ時間に利用できるようにチャネルも分けているケースもあります。当然、自分のチャネルの隣のチャネルは別の機器が通信しています。
占有周波数帯幅(第2弾)では、自身が出力している電力の大部分(例:99%)を占める周波数幅を確認していますが、これでは隣りのチャネルに漏れる電力は確認できないので、別途「隣接チャネル漏えい電力」を測定することが重要です。
図1:割り当て周波数と隣接チャネル漏えい電力のイメージ
隣接チャネル漏えい電力の許容値が、絶対値で規定される場合は「隣接チャネル漏えい電力」(ACP:Adjacent Channel leakage Power)、相対値であれば「隣接チャネル漏えい電力比」(ACLR:Adjacent Channel Leakage Ratio、ACPR:Adjacent Channel Power Ratio)と表記されます。
図2は、狭帯域デジタル方式の無線設備の信号を例として、実際にスペクトラムアナライザで測定した画面例です。
ACP(絶対値)の場合、図2-②の値を測定結果とします。
ACLR(相対値)の場合には、図2-③(=②-①)を測定結果とします。
このように一般的なスペクトラムアナライザには「隣接チャネル漏えい電力」の測定機能が搭載されていますので、その機能を利用することで簡単にACP・ACLRの測定と計算ができます。
許容値は、測定対象の無線設備の規格によって異なるので必ず確認してください。
①搬送波電力:絶対値 [dBm]
②隣接チャネル漏えい電力 (ACP):絶対値 [dBm]
③隣接チャネル漏えい電力比 (ACLR):相対値 [dBc]
図2:隣接チャネル漏えい電力 測定画面例
(チャネル間隔 25 kHz、測定帯域幅 16 kHz の例)
参考:無線設備規則 <第1弾> ~周波数の許容偏差~
無線設備規則 <第2弾> ~占有周波数帯幅~
※本記載内容は2020年11月1日現在のものです。
無線設備規則の一つであるスプリアス発射。
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