電波法のスプリアス測定の基礎 <第4弾>
スプリアス規格改定で定義された「帯域外領域」と「スプリアス領域」とは?
第1弾で触れましたが、国内では2005年12月1日から無線設備のスプリアスの許容値に対する規格
(技術基準等の関係省令及び関係告示)が改正されました。
第1弾:新スプリアス規格ってなに?旧規格との違いは?(2017年9月号)
改めて、測定する周波数範囲に関する改正のポイントは以下2つになります。
①「下限周波数」と「上限周波数」を明確化
②「必要周波数帯幅(BN)」「帯域外領域」「スプリアス領域」の3つの領域を定義(図1参照)
第4弾では、「帯域外領域」と「スプリアス領域」について紹介します。
「帯域外領域」は、被測定物を 無変調状態 に切り替えてから測定します。
「スプリアス領域」は、被測定物を 変調状態 に切り替えてから測定します。
被測定物の信号状態が異なるだけでなく、それぞれ測定する周波数範囲も異なるので
スペクトラムアナライザを用いて測定する際には、それぞれの領域の境界を把握しておく必要があります。
図1:必要周波数帯幅(BN)・帯域外領域・スプリアス領域の定義
(画像はクリックして拡大可能)
「帯域外領域」と「スプリアス領域」の周波数範囲:
【図1 境界①の説明】
はじめに「帯域外領域」の周波数範囲は、どこからどこまででしょうか?
図1を見ると「帯域外領域」は搬送波周波数(fc)を中心として上下方向のすぐ近くの周波数範囲です。
ただし「必要周波数帯幅(BN)」を除きます。
つまり 「帯域外領域」「必要周波数帯幅(BN)」の境界は、「fc ± BN/2」ということが分かります。
【図1 境界②の説明】
次に 「帯域外領域」と「スプリアス領域」の境界の周波数はどのように決まるのでしょうか?
表1は、総務省の無線設備規則・別表第3号から引用したものです。
搬送波周波数(fc)と必要周波数帯幅(BN)が分かれば、表1に従って「帯域外領域」と
「スプリアス領域」の境界の周波数を確認できます。 ※一部例外があります。
表1:帯域外領域とスプリアス領域の境界の周波数
境界の周波数は、搬送波周波数(fc)と必要周波数帯幅(BN)により決まります。
(画像はクリックして拡大可能)
例えば、搬送波周波数(fc)400MHz帯、必要周波数帯幅(BN)12.5kHz の業務用無線機であれば、
「fc±62.5kHz」が境界になります。<表1:橙部分参照>
また、搬送波周波数(fc)920MHz帯、必要周波数帯幅(BN)100kHz の IoTシステムであれば、
「fc±2.5BN = fc±2.5×100kHz = fc±250kHz」が境界になります。<表1:青部分参照>
最後に「スプリアス領域」です。これは図1のように「下限周波数※1」から「上限周波数※1」の
周波数範囲ですが、「必要周波数帯幅(BN)」と「帯域外領域」 を除きます。
※1:詳細は、第3弾をご覧ください。
第3弾:スプリアス規格改定で定義された下限/上限周波数とBNとは?(2019年12月)
※本記載内容は2020年2月1日現在のものです。
<参考リンク>
第1弾:新スプリアス規格ってなに?旧規格との違いは?(2017年9月号)
第2弾:スペクトラムアナライザのカタログスペックにある位相雑音とは?(2018年12月号)
第3弾:スプリアス規格改定で定義された下限/上限周波数とBNとは?(2019年12月)
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