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スぺクトラムアナライザのカタログスペックにある位相雑音とは?

 

                            関連記事→ 「第13回:新スプリアス規格ってなに?旧規格との違いは?」(2017年9月)



「アナログFM無線機の新スプリアス測定での80dBcの測定が可能なスぺクトラムアナライザはどれでしょうか?」

お客様からこんな質問を受けることが昨今多くなっています。

80dBcの測定は、無線機を無変調にして行う帯域外領域の測定になりますが、

この測定ではスぺクトラムアナライザ(以下、スペアナ)の位相雑音性能が問題になります。


位相雑音は、英語ではPhase Noiseと言われ、信号の純度を表すひとつの指標です。

無線機の無変調時の信号は正弦波ですので、その周波数スペクトラムは、理想的には一本線で幅を持たないものですが、

実際は信号を生成している発振器の周波数揺らぎなどにより、幅を持つスぺクトラムになります。

これが信号自体が持つ「位相雑音」と言われるもので、信号を山に例えると、すそ野の広がりが位相雑音に相当します。


図1

201812測定のツボ_図1.png

(画像はクリックして拡大可能)



一方、スペアナの性能でも位相雑音(注  と言われるものがありますが、これはスペアナ内部で作り出す信号(ローカル信号)の

位相雑音を表します。(注: SSB(単側波帯)位相雑音等と言われることもある)

なぜ、スペアナ内部の信号が、無線機のスプリアス測定に影響するのか?というと、

スペアナ内部では、入力された無線機の信号に、内部のローカル信号を混合して周波数変換をして測定を行います。

この周波数変換の過程で、無線機の信号の位相雑音性能に、スペアナ内部のローカル信号の位相雑音性能が加算されます。


図2

201812測定のツボ_図2.png

(画像はクリックして拡大可能)



このためスペアナの位相雑音性能の違いにより、観測される信号のスぺクトラムが決まってしまうため、

位相雑音性能の悪いスペアナの場合、信号のすそ野の広がりが大きくなり、判定しようとする規格値にかかってしまい、

不合格となってしまいます。新スプリアス規格の帯域外領域の測定では、このすそ野の部分で測定することになるため、

なるべく位相雑音性能の良好なスペアナが必要とされます。



  図3:スぺクトラムアナライザの位相雑音性能の違いによる帯域外領域のスプリアス測定波形のイメージ

201812測定のツボ_図3.png

(画像はクリックして拡大可能)



位相雑音性能は、スペアナなどのローカル信号により周波数変換を行う計測器の基本的な性能になりますので、

スプリアス測定のときのみ重要なわけではありません。

地上デジタル放送、無線LAN、LTEや次世代通信システムである5Gなどで使用されているOFDM変調は、

数百~数千のマルチキャリアで信号が生成され、そのサブキャリアの間隔分、離れた位相雑音性能で、

変調信号の好し悪しが決まり、それを測定・評価する計測器にはその性能を上回る位相雑音性能が要求されます。





 ※本記載内容は2018年12月1日現在のものです。





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