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無線LAN搭載製品の評価事例    

送信特性評価 (変調精度・EVM)

   ~ワイヤレスコネクティビティテストセット MT8862Aのご紹介~


最近ではデジカメ・掃除ロボット・白物家電・カメラ・センサ・工業機器など様々な製品に無線通信機能が搭載されており、本格的なIoTの普及に伴って今後もさらに拡大することが予想されます。

それらの機器/製品では、無線LANの通信機能を実現するために、一般的には “無線LANモジュール" が採用されています。

無線LANモジュールがIEEEや電波法を満たしていても、そのモジュールを実装した製品状態で評価していないためトラブルが発生するケースります。


~ 製品状態の無線LAN機器のトラブルケース ~

   ✔   無線LAN機器をテストファームでのみ評価していたが、製品ファームでは送信特性が変わっていた。

(送信パワーが低くなる、変調精度が悪化する、など)

   ✔   無線LAN機器本体のソフトウェア(OS) を更新したら、無線LANの送信パワーが異常出力される。

※電波法違反のリスクも!

   ✔   ハイエンドモデルを開発する際に、旧モデルより送信パワーが低くなっていた。

        モジュール/アンテナの実装位置、筐体の特性によって送信特性が劣化した。

        新しいモジュールで無線LAN機器を再設計したが、採用したモジュールの特性が前より悪かった

 

     【想定されるリスク】

     ✔ 送信パワーが弱い場合

          ⇒ 電波の到達エリア(サービスエリア)が狭くなります。

     ✔ 送信パワーが強い場合

           ⇒ 電波法の許容値を超えるリスクがあります。

     ✔ 信号の品質が悪い場合

           ⇒ 送信パワーが強くても、受信機では正常に復調できない可能性があります。


これらのトラブルやリスクを低減するため、無線LANモジュールを組み込んだ製品状態にて 「送信特性」 を評価することが重要です。特に無線通信の 「品質」 の評価には 「変調精度」 が重要です。


 変調精度 (EVM : Error Vector Magnitude) の評価

HR_lightgreen2.png

 変調精度とは?


無線LANではいくつかの伝送レートがあり、データを送信する際の変調方式がBPSKQPSK16QAM64QAMなど異なります。


変調方式と伝送レートの関係



コンスタレーション図


右図はQPSKのコンスタレーションのイメージです。

変調精度 (EVM : Error Vector Magnitude)

理想のシンボル点のベクトルに対して、実測した

シンボル点の誤差ベクトルの比を示します。

 




変調精度 (EVM) の許容値


IEEE802.11には、送信特性や受信特性など無線LAN機器に求められる仕様が規定されています。送信特性の評価項目の一つが変調精度です。IEEEでは 「Relative Constellation Error[dB] で規定されていますが、換算式により 「Error Vector Magnitude(EVM)[%] に変換できます。

いずれも値が小さいほど 「変調精度が良い」 と判断できます。

逆にどんなに変調精度が悪くても、下表の値(許容値)を超えないことが無線LAN機器の送信特性には求められます。

 

Txtest_03.png

例えば、伝送レート54Mbpsの許容値は EVM=5.6% です。

では、実際の無線LAN機器はこの許容値を満たしているのでしょうか?

 

変調精度 (EVM) の実測例 <MT8862Aにて測定>

下図では、実際に運用されている無線LAN機器を2種類用意し、変調精度として64QAM (54Mbps) のコンスタレーションをMT8862Aで実測した画面例です。64QAMでは、縦横 8×8=64のシンボル点があります。

変調精度が良いとシンボルが点のように集中し、悪いと滲んで見えます。変調精度が悪いと受信機側で正しく受けられなくなり、自動的に低いレート/変調方式へ切り替わります。その結果ユーザは「通信速度が遅い」と感じたり、さらに悪化すると「接続が切れる」などのトラブルが起こる可能性があります。


Txtest_04.png

 

伝送レート54Mbpsの許容値 5.6% に対して、右側の無線機は許容値を満たしていません。

送信された信号は空中を伝搬する途中でさらに劣化して相手に届きます。

シンボルの認識ができなければ、受信機側で正常に復調できない可能性があります。


変調精度 (EVM) の数値結果だけ見れば十分?

 

数値結果がIEEEの許容値を満たしていれば 「良い」 ということは判断できます。

しかし許容値を満たしていない場合、数値結果だけ見ても 「悪い」 ということしかわからず、何が要因かという推測ができないため対策のヒントになりません。

そこで、コンスタレーションの図を確認することが重要になります。下記のように、コンスタレーションの振る舞いによって、EVMの劣化の要因を推測でき、対策のヒントに役立てることができます。


Txtest_05.png

その他の送信特性試験 (Tx試験) の評価

HR_lightgreen2.png

MT8862Aの送信評価項目

MT8862Aでは、IEEE802.11に沿った送信特性を評価できます。変調精度・コンスタレーションだけでなく、送信パワーなどの数値結果、パワープロファイルやスペクトラムマスクのグラフなど確認できます。

MT8862Aを用いて、モジュールを実装した製品状態でかつ製品ファームにて 「送信特性」 を評価することで、無線通信の「品質」を評価でき、実サービスのトラブルやリスクを低減できます。


Txtest_06.png

IEEE802.11の送信特性の試験項目と章番号 

表は、IEEE802.11の送信特性の試験項目とそれぞれの章番号です。MT8862Aは下表の試験項目をサポートしています。

Txtest_07.png


download.png リーフレット「無線LAN搭載製品評価事例 送信特性」(変調精度・EVM)を見る  

  本ページのソリューションをPDFにまとめましたので、ご活用ください。


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