【想定されるリスク】

     ✔ 受信感度が悪くなると無線LANが利用（通信）できるエリアが狭くなります。

     ✔ 定常的に通信エラーが発生する場合

           ⇒ 通信速度が遅くなる可能性があります。

これらのトラブルやリスクを低減するため、無線LANモジュールを組み込んだ製品状態にて 「受信特性」 を評価することが重要です。

 最小受信感度 (Receiver minimum input level sensitivity) の評価

 最小受信感度の許容値

IEEE802.11には、送信特性や受信特性など無線LAN機器に求められる仕様が規定されています。受信特性の評価項目の一つが最小受信感度です。IEEEでは「Receiver minimum input level sensitivity」として規定されています。この試験では、対向機器から被測定物の無線LAN機器へ信号を入力し、徐々にレベルを下げながらPER（Packet Error Rate）が10%以下になった時の受信レベルを測定します。

Packet Error Rateとは？

被測定物に対して対向装置から一定数のパケットを送信し、被測定物が受信できなった（エラーになった）パケット数を百分率で示します。

最小受信感度レベルがIEEE802.11の規定値よりも低いことが無線LAN機器には求められます。さらにそのレベルが低いほど「弱い信号でも受信できる」、受信感度が良い製品となります。 

無線LANは通信状況に応じて伝送レート（通信速度）が変わるため、被測定物の伝送レートを指定して測定しなければ定量的な評価になりません。

MT8862Aの受信特性評価機能のご紹介 

概要

✔MT8862Aは無線LAN搭載機器に対して特殊なUDPパケット（Test Packet）を送信し、無線LAN搭載機器から送信される　ACKフレームをカウントすることによりPER（Packet Error Rate） /FRR（Frame Reception Rate）を測定します。

✔ネットワークモードにより、無線LAN搭載製品を製品状態で、かつ実動作に近い環境における受信特性を評価できます。 

MT8862Aではチャネル（周波数）、伝送レート、出力レベルなどを固定して受信感度を評価できます。

無線設定（Wireless Settings）

右図は11acの設定画面例です。PPDUタイプ（帯域幅）、MCS Index（伝送レート）、 プライマリチャネル（周波数）などを任意に設定して評価できます。11a/b/g/nも同じくチャネル（周波数）・伝送レート（変調方式）など設定できます。

テストパラメータ（Test Parameter）

測定するパケット数を設定します。必要に応じて遅延時間を調整します。

パケット構成（Packet Structure）

パケットのデータ長、データ通信に使用されるペイロードタイプ、パケット情報のタイプ、パケット間のインターバル長を設定します。

無線LANモジュールによっては、データ長が多いとエラーが発生したり、インターバルがないと受信できないなどの制約あるので、モジュールの採用段階でチェックすることが重要です。

 指定した感度（Test Limit PER）になるまで自動的にレベルを変えながらPER測定結果を取得します。

MT8862Aによる最小受信感度の測定例（市販品の測定結果比較例） 

 まず無線モジュールの選定段階で、最終的な運用の仕様に沿った条件で性能を確認しておくことが重要です。そして製品状態で改めてモジュールの性能が維持されていることを評価することが重要です。

　リーフレット「無線LAN搭載製品評価事例　受信特性」を見る  

  本ページのソリューションをPDFにまとめましたので、ご活用ください。