電界強度の求め方 (dBµV/m:単位についてのお話 その3)
(→ 関連記事:「“W” ではなく “dBm” を使う理由とは?」(単位についてのお話 その1))
: 「dBμVemf とは?」(単位についてのお話 その2))
1. 電界強度測定とは?
その1、その2に引き続きdB関係の単位のお話です。
今までのdBmやdBµVの単位は、信号をケーブルなどで伝送する場合の信号の強さを表す単位でした。
信号の伝送にはもうひとつのかたちがあります。
空中を飛んでいる電波です。
電波の場合、その強さを表すのに電圧は使わず、「電界強度」と言います。
電界強度とは、多少語弊がありますが簡単に言うと「空間中の電圧」のことです。
電圧を測定する場合、ケーブル先端とか抵抗両端とか測定するポイントが決まっていますが、
電界強度(空間中の電圧)を測定する場合、その測定ポイントが決まりません。
そのため、1m離れた2点間の電圧で表します。
単位は1mあたりということで「/m」が付き「dBµV/m」と言う単位になります。他に「V/m」という単位もあります。
2. スペクトラムアナライザでの電界強度測定
電界強度を測定するのにスペクトラムアナライザ(以下、スペアナ)が使用できますが、
スペアナ単独で直接電界強度を測定することはできません。
電界強度から電圧へ変換するものが必要になります。それがアンテナです。
測定は非常に簡単で、スペアナにアンテナを接続すれば測定できます。アンテナがある場所の電界強度を測定します。
スペアナで測定した電圧(Vo)に、電界強度へ変換する係数(アンテナ係数(X))を用いて
補正することにより電界強度(E)を計算します。
使用するアンテナの係数はどういう式で使えるものなのかを確認してください。以下は一例です。
E[dBμV/m] = Vo [dBμVemf] + X [dB/m]
※ 本計算式は一般的な例です。アンリツ製品については別途定義されていますので、各製品の取り扱い説明書等でご確認ください。
電界強度測定ではアンテナとスペアナを結ぶケーブルが長くなります。
そのためケーブルによる損失も無視できなくなりますので、電圧(Vo)を測定するときには
このケーブルによる損失も補正することをお忘れなく。
3. 測定時の注意点は?
電界強度を測定するときにいくつか注意点があります。
・偏波面
電波は波のような振る舞いをする一面があります。電波が振動する面を偏波面と言います。
ダイポールアンテナや八木アンテナの場合にはアンテナ素子と偏波面は平行にして測定します。
・指向性
アンテナはその向きにより感度が変わります。測定は感度の一番高い方向で行います。
ダイポールアンテナや八木アンテナの場合にはアンテナ素子の平面内でアンテナ素子と垂直方向が一番感度の高い方向になります。
・スペアナでの電界強度測定
スペアナは汎用的であるがゆえに測定できる周波数範囲が大変広いです。
目的の周波数以外も多くの周波数の信号を受信しています。
また、電界強度は通常小さな値であるためスペアナ内蔵のプリアンプを入れて測定する場合が多いです。
このような時に、測定している周波数範囲以外の大きな信号が入力してスペアナを歪ませて正しい測定ができない場合があります。
(画像はクリックして拡大可能)
このようなことを防ぐため、測定する周波数範囲だけに制限するフィルタを入れたり、
スペアナに入力する信号の全レベルを絶えず見ておく必要があります。
※本記載内容は2018年2月1日現在のものです。
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