dBµVemfとは？  （単位についてのお話 その2）

　　（→ 関連記事：「“W” ではなく “dBm” を使う理由とは？」(単位についてのお話 その1)）

電力の単位である「dBm」、この単位の中にある「m」は1mWを基準にすることを表しています。

この「m」を他の基準にすることでいろいろな単位が存在します。

　dBW  ：1W   を基準とした電力の単位

　dBµ   ：1µW を基準とした電力の単位

　dBV   ：1Ｖ   を基準とした電圧の単位

　dBmV：1mV を基準とした電圧の単位

　dBµV ：1µＶ を基準とした電圧の単位

「m」になにも指定しない単位も可能です。「dB」となり単に比率を表す単位になります。

スペクトラムアナライザやネットワークアナライザの測定器の世界では、「dBm」、「dBµV」や「dB」がよく使用されています。

信号電力を表すには「dBm」を、信号電圧を表すには「dBµV」を使い、絶対値を表します。

また、二つの信号の大きさの比を表すには「dB」を使い、相対値を表します。

電圧や電力の測定結果を「dB」単位に変換するときは注意が必要です。

　　　・　電力比(dB)=10×log[電力比(W)]　　

　　　・　電圧比(dB)=20×log[電圧比(V)]

電力比は10×ですが、電圧比は20×になります。「dB」単位はもともと電力の比率を表す単位です。

それゆえ、電圧で比率を表す場合は一度電力に換算してから計算します。

電圧(V)から電力(W)への変換は、電圧を2乗して抵抗で割ります。【電力(W)＝V²/R】

ここで比較する電圧をVaとVbとすると、この二つの抵抗値が同じなら、

比を取った時に抵抗分は約分されます。【((Va²/R)/(Vb²/R))＝(Va²/Vb²)＝(Va/Vb)²】

この(Va/Vb)²の対数を取ると指数部は対数の外に出すことができるため、

この2がlogの外に出て20×になります。【10×log[(Va/Vb)²]＝20×log[(Va/Vb)]】

「dBµV」には兄弟のように似た単位があります。「dBµVemf」と呼ばれる単位です。

「emf」は、Electromotive Forceの略で起電力の意味です。

通常、高周波の世界で測定器を接続するときは、インピーダンスZo（50Ωや75Ωなど）を一致させて接続します（終端状態）。

この状態で信号源の送信電圧を表したものが「dBµV」で終端電圧と呼ばれます。

一方、信号源になにも接続しない状態（開放状態）で送信電圧を表したのが「dBµVemf」となり、開放電圧と呼ばれます。

 　　（画像はクリックして拡大可能）

 この終端電圧と開放電圧には一定の関係があります。

信号源の開放電圧を測定するときは、図１のように信号源に何も接続しないで電圧を測定します。

このとき測定される電圧は、信号源内部の電圧源の電圧（Vo）がそのまま測定されます。

そして、信号源の終端電圧を測定するときは、信号源に信号源と同じインピーダンスの物を接続した状態で

測定します（図2の場合は無線機）。

信号源の出力電圧は、信号源内部の電圧源の電圧(Vo)が信号源インピーダンスZoと無線機インピーダンスZoとで

2分割された状態で測定されます(Vo/2)。

このように、

　　　　開放電圧[V]=終端電圧[V]×2

　　　　開放電圧[dBμVemf]=終端電圧[dBμV]+6.02(dB)

の関係があります。

電圧（V）の「2倍」を、dBµVで表す2倍にすると「+6.02dB」となります。

この開放電圧(dBµVemf)は、無線機の世界でよく使われます。

電波法施行規則では、「受信機入力電圧とは、受信機の入力端子における信号源の開放電圧」と規定されています。

それゆえ、無線機の受信測定の世界では、「dBµV」という言葉を使いながらも

その意味は開放電圧を意味している場合がありますので、注意が必要です。

    　                 　資料ダウンロード.....................　

「電力：電圧_換算表」 （全1ページ）   （直接PDFが開きます）

 ※本記載内容は2018年1月1日現在のものです。