サンプリングオシロスコープのEyeパターン、どう見る?(その2)
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2.3 Eye開口(Eye opening)
Eye開口(Eye opening)とは、Eyeパターンの面積のことです。
信号のEyeパターンを測定したときに以下の状況であれば、その信号はEye開口(Eye opening)が広いということになります。
・立ち上がり時間(Tr)/立ち下がり時間(Tf)が短い
・ジッタが少ない
・振幅変動が少ない(振幅方向の線が細い)
つまり、Eye開口(Eye opening)が広ければ広いほど、そのIC/光モジュール/伝送装置の出力信号は「特性が良い」ということになります。
図6.Eye開口(Eye opening)
(画像はクリックして拡大可能)
2.4 Eyeマスク適合性試験
データコム/テレコム/Fibre-Channel などの業界では、光コンバータなどの部品の互換性を確保するために、
Eyeパターンの波形に関する時間と振幅の限界値を標準化しています。
この「限界値」を「形状」で表したものを「Eyeマスク」と呼んでいます。
Eyeマスクは「IEEE」や「ITU-T」、さらにはFibre-Channelなどの通信規格によってそれぞれ異なります。
図7,8 は、Eye パターンをEyeマスクとともに示したものです。図の紫の部分がマスクエリアです。
このマスク部分は「侵入禁止」の領域であり、この領域内にトランスミッタ出力のサンプルが規定の数以上現れると、
マスク適合性試験には合格できません。
また、このEyeマスクに適合していても、Eyeマスクに対する波形の余裕度が少なければ、その測定対象物は「良い性能」とは言えません。
図7.マスクに対して余裕度が多い 図8.マスクに対して余裕度が少ない
(画像はクリックして拡大可能)
この波形はジッタが少なく、TrやTfの時間も短い。 そしてEye開口もMaskに対して余裕度が多い。 この信号を出力するIC/光モジュール/伝送装置は 右図の波形を出力するIC/光モジュール/伝送装置に 比べて性能が良いということになる。 |
この波形はTrやTfの時間は短いが、ジッタが多いため、 Eye開口がMaskに対して余裕度が少ない。 この信号を出力するIC/光モジュール/伝送装置は 左図の波形を出力するIC/光モジュール/伝送装置に 比べて性能が悪いということになる。 |
Eye パターンは、高速デジタル信号の波形品質を評価する上で強力なツールとなるもので、
測定されたEye パターンからヒストグラムを使用し、振幅軸や時間軸の歪みに関するさまざまなパラメータが計算できます。
※本記載内容は2017年4月1日現在のものです。