無線設備規則:
「占有周波数帯幅」は無線設備規則の第六条および別表第二号に記載されています。別表第二号では、測定対象となる無線設備等の「電波の型式」などに応じて、それぞれの許容値が規定されています。
一般的には占有周波数帯の許容値は、割り当て周波数(チャネル間隔)と同等もしくは狭い値になっています。下記は許容値の例(一部抜粋)です。
チャネル間隔 | 許容値 | |
6.25/12.5/25kHz | 5.8/11.5/24.3kHz | <狭帯域デジタル> |
7.5/15kHz | 7.1/14.6kHz | <市町村デジタル防災> |
100/200・・・/500kHz | 100/200・・・/500kHz | <920MHz帯特定小電力無線> |
20/40/80MHz | 19/38/78MHz | <無線LAN> |
10/20/30・・・/100MHz | 10/20/30・・・/100MHz | <5Gセルラ基地局> |
占有周波数帯幅の測定:
占有周波数帯幅の測定は、無線設備によって測定方法や測定系が異なります。一例として図4の測定系を紹介します。
図4:占有周波数帯幅の測定系統図
一般的に「占有周波数帯幅」は、自身が出力している電力の99%を占める周波数幅です。
(一部99%ではない無線設備もあります。詳細は無線設備規則等をご確認ください。)
試験機器は、通常の通信状態(変調信号)にします。変調信号は、運用時の送信速度にて標準符号化試験信号(PN9段符号)によって変調します。試験機器にテスト用の変調信号を出力する機能があれば、擬似信号発生器は不要です。
測定器はスペクトラムアナライザを利用します。実際の測定では、スペクトラムアナライザのスパン(周波数幅)を占有周波数帯幅の許容値の数倍(例:2.5~3倍)に設定して、画面上の全電力に対して下側0.5%と上側0.5%の電力になる周波数位置を算出します。この2つの周波数位置の差(間隔)が「占有周波数帯幅」になります。
無線設備の証明規則等では、スペクトラムアナライザで掃引した全データ点をコンピュータに取り込んで「全電力」「下限周波数」「上限周波数」を算出することになっています。
しかし、OBWを測定する機能が備わっているスペクトラムアナライザであれば、外部のコンピュータで計算する必要もなく簡単に測定結果を確認できます。
図5: 占有周波数帯幅(OBW)測定画面例
(許容値 7.1 kHz の例)
図5は実際にスペクトラムアナライザのOBW測定機能を使って測定した画面例です。2本ある青色の縦線の間が電力の99%を占める周波数幅で、その外側がそれぞれ0.5%の周波数幅になります。
ここで「0.5%に見えない」というご質問を受けることがあります。スペクトラムアナライザの縦軸は電力を対数(Log)で表示しているので、縦軸で1マス下がると電力は10分の1、2マス下がると電力は100分の1になります。そのため、図5のような測定画面例でも下側と上側がそれぞれ0.5%の電力となっています。