スマホってスペアナで測れるの?<無線LANの場合>
今月のコラムは、「スマホを測る」の第2弾で、スマホに搭載されている”無線LAN”を測れるか、です。
(第1弾はこちら→ 2019年4月号「スマホってスペアナで測れるの?<ケータイの場合>」)
毎月の通信料金を抑えるには、とても重要なスマホの無線LAN機能。
最近では、外出先でも無線LANで接続できる場所が増えとても便利になってきました。
無線LANは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)にて、802.11という規格で定義され、
使われている周波数は、2.4GHz帯と5GHz帯です。
無線LAN規格を表す11b,11a,11g,11n,11ac等の方式が年を追うごとに開発され
より高速な通信が行えるようになってきました。
方式名:周波数帯:最大伝送速度
IEEE802.11b:2.4GHz帯:~11Mbps/~22Mbps
IEEE802.11a:5GHz帯:~54Mbps
IEEE802.11g:2.4GHz帯:~54Mbps
IEEE802.11n:2.4GHz/5GHz帯:~数百Mbps
IEEE802.11ac:5GHz帯:~数Gbps
無線LAN搭載製品のカタログなどを見ると、よくこの11xという名前で対応規格が記載されていることを目にします。
最新規格としては、さらに高速化した11axという製品が、近い将来リリースされる予定です。
無線LANは、前回の携帯電話と同様に使用するチャンネルを割り当てて通信を行います。
このチャンネル割当を決めるのは、親局側となっており、電波の使用状況等により、使用するチャネルを決めます。
親局とは、外出先や一般家庭内のアクセスポイント、テザリング中のスマホ等がそれにあたり、
一般的なスマホの無線LAN通信の場合は、スマホは子局になります。
この無線LAN機器をスペクトラムアナライザ(以下、スペアナ)で測定しようとすると、
スマホの携帯電話の時と同様、使用チャンネルを親局が決定・変更するため、
測定する周波数を固定にすることができる機器(例:MT8862A)が必要になります。
これに加えて、携帯電話と異なるのは、2.4GHz帯の無線LANの場合は、ISMバンドと呼ばれる無線LAN以外の
電波も使われている帯域のため、そのままスペアナで測定(図1の状態)すると、
何の電波を測定しているのか全くわからない状態になります。
図1 2.4GHzを出しているさまざまな周辺機器
(画像はクリックして拡大可能)
図2 2.4GHzのいろいろな電波が見えてしまうスペアナの波形データ
(画像はクリックして拡大可能)
この状態では無線LAN信号を測定することはできないので、この無線LAN以外の電波を減衰させるために、
スマホの回でご紹介したようなシールドボックスが必須になります。
図3 正しい測定が出来る例
(画像はクリックして拡大可能)
図4 無線LANのスペクトラム波形の実例
(画像はクリックして拡大可能)
いかがでしたでしょうか、今回は「スマホってスペアナで測れるの?」第2弾 "無線LANの場合"を
お届けしました。最後に第3弾として"Bluetooth®通信の場合"をお届けする予定ですので、どうぞお楽しみに。
※本記載内容は2019年7月1日現在のものです。
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