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同軸ケーブルの特性について 後編

 ~ なぜ50Ωと75Ω? ~ 

 


前編では、同軸ケーブルのどのような特性を最適にするかにより、

特性インピーダンスはいろいろな値になる、ということをお伝えしました。

(→2019年2月号「同軸ケーブルの特性について 前編 ~どのように決まっている?~」)


後編となる今回は、高周波の同軸ケーブルでは50Ωと75Ωの特性インピーダンスが

一般的に使われていますが、その理由はなぜか? についてご紹介します。


高周波信号の伝送はここ100年ほどで発展してきたものですが、

残念ながらこの二つの値になった確実な理由はわかっていません。

これからお話しすることはひとつの説として参考いただければ幸いです。



なぜ50Ω?


前編でお伝えしたとおり、減衰量を小さく、なおかつ大きな電力を送信できるよう、

両方の特性を満足させるには特性インピーダンスは76.6Ωと30Ωの中間の値になります。

この二つを平均すると、


  201903測定のツボ_図1.png


この二つの平均に近く、きりの良い値で50Ωとなっています。

また、実際のケーブルは中心導体を支えるため中心導体と外導体の間にポリエチレンが入っています。

このポリエチレンの影響*1 を考慮すると減衰量を最小にする特性インピーダンスは51.2Ωとなり、

やはり50Ωに近い値になります。



それでは75Ωは?


75ΩはCATVや放送の分野で使用されています。

このような分野では大電力を送る必要がないため減衰量を最適にします。

という訳で76.6Ωに近い75Ωとなります。


しかし、これは中心導体と外導体間が空気の場合です。

実際の同軸ケーブルは中心導体を保持するためポリエチレンがあり、

減衰量を最適にする特性インピーダンスは51.2Ωです。

このように現在使用されている同軸ケーブルでは、減衰量が最適な特性インピーダンスになっているとは

言えません。


もうひとつの理由は特性インピーダンス300Ωから75Ωへの変換の容易さです。

各家庭でアンテナからの信号をテレビへ送るとき、最近はあまり使われてないようですが、

2線を平衡に配した平行フィーダー線を使うことがありました。


この平行フィーダー線の特性インピーダンスが300Ωであり、75Ωは300Ωの1/4になっています。

この「4」という数字が重要で、小さなコアに線材を巻くだけの簡単/安価な回路で300Ωを1/4にして

75Ωにインピーダンスを変換できます。

平行フィーダー線の特性インピーダンス300Ωは、平行フィーダー線がつながるアンテナに関係しています。

折り返しダイポールアンテナの特性インピーダンスは約275Ωです。

特性インピーダンス300Ωの平行フィーダー線はこの折り返しダイポールアンテナに直接接続できます。

300Ωの平行フィーダー線から同軸ケーブルに変換する際の容易さから75Ωが選ばれているという説もあります。



201903測定のツボ_図2.png

(画像はクリックして拡大可能)





*1:誘電率=2.25で計算した場合


参考文献:マグロヒル大学演習シリーズ 伝送工学

参考サイト:https://www.microwaves101.com/encyclopedias/why-fifty-ohms

   


 ※本記載内容は2019年3月1日現在のものです。





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