□■ 大切な測定器を壊さないために…シリーズ ■□
スペクトラムアナライザの内蔵減衰器と外付けの減衰器って何が違うの?
以前、スペクトラムアナライザ(以下、スペアナ)で使用する減衰器が測定結果に与える影響についてお話ししました。
今回は実際の測定時に使われる以下二つの減衰器について、その役割と陥りやすい間違いについてお話しします。
1: スペアナに外付けして使用する減衰器
2: スペアナに内蔵されている減衰器
ある日のAさん
「測りたい信号レベルは+50dBmだけど、手持ちの10dBの外付け減衰器で減衰させても信号レベルは+40dBmか…。
このままだとスペアナの最大入力レベル+30dBmを超えてしまうので、壊してしまうな…。
確か内蔵減衰器が設定できるようなので、内蔵減衰器を10dBに設定すれば、
最大入力レベルが10dB上乗せされて+40dBmになるはずなので…。
これだとスペアナを壊すことはないな。うん。うん。」
測定を開始してすぐにスペアナの具合がおかしくなってしまいました。
残念ながら過入力により壊してしまったようです。
スペアナはなぜ壊れたのか、どうすればよかったのでしょうか?
あらためて二つの減衰器の役割について考えてみましょう。
・1:スペアナに外付けして使用する減衰器の役割
外付け減衰器は、過入力信号によるスペアナの破損を防止するために使われます。
入力端子に記載された最大入力レベルを超えないように、入力信号のレベルを減衰させてください。(図1に一例を示します)
図1
--- 外付け減衰器の役割 ---
・ 無線機器から出力された信号のレベルを、スペアナの入力端子の最大入力レベル以下に減衰させるためのものです。
・ 例えば無線機器の出力レベルが+50dBmでスペアナの最大入力レベルが+30dBmの場合では、
外部減衰器は20dB以上のものを選ぶ必要があります。
ここで使用する減衰器にも定格はありますので、+50dBm以上の定格のものを使用する必要があります。
・2:スペアナに内蔵されている減衰器の役割
内蔵減衰器は、スペアナ内部のミキサに最適なレベルの信号を入力するために使用します。
以前お話ししたように、ミキサへの入力信号のレベルが高いと、スペアナ内部にひずみが発生し、
測定結果に悪影響を与えてしまいます。
この影響を無くし、正しい測定を行うために、内蔵減衰器によりミキサへの入力信号を適正なレベルに減衰させ、ひずみの発生を防ぎます。
--- 内蔵減衰器の役割 ---
・ スペアナに入力された信号のレベルを、ミキサの入力に適した値に減衰させるためのものです。
・ 内蔵減衰器で最大入力レベルを上乗せすることはできません。
・ 例えばスペアナへの入力レベルが+30dBmで、ミキサの入力レベルを-20dBmにしたい場合、
内蔵減衰器を50dBに設定します。
それぞれの役割がお分かりいただけたでしょうか?
では冒頭のAさんの状況に戻り、正しい行動を行ってみましょう。
別の日のAさん
「測りたい信号レベルは+50dBmだけど、手持ちの10dBの外付け減衰器で減衰させても信号レベルは+40dBmか…。
このままだとスペアナの最大入力レベル+30dBmを超えてしまうので、壊してしまうな…。
隣の部署から減衰器を借りてこよう。
そういえば確か、信号レベルは瞬間的には+50dBmを超える場合もあるみたいだし、
ここは少し余裕をもたせて、外付け減衰器を30dBにして、スペアナへの入力レベルを+20dBmにしておこう。
あとは、内部ミキサへの入力レベルを適正化するために、
Reference Levelをスペアナへの入力信号のレベルと同じ+20dBmに設定して、内蔵減衰器はAutoに設定すればこれでOK!」
今度は大切なスペアナを壊すことなく、うまく測れたようですね。
図2:接続図
(画像はクリックして拡大可能)
今回のポイント
・スペアナへの入力信号のレベルは最大入力レベル以下にすること。
・内蔵減衰器の設定で最大入力レベルを上乗せすることはできない。
・内蔵減衰器の設定により内部ひずみの発生を抑制。
・内蔵減衰器はAutoに設定。その際、Reference Levelにスペアナへの入力信号レベルを設定。
※本記載内容は2018年7月1日現在のものです。
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