ネットワークアナライザ測定前"校正"は、なぜ必要?
校正(Cal、Calibration)はなぜ必要?
高周波やマイクロ波のベクトルネットワークアナライザ(以下、ネットアナ)では
測定系(ネットアナ自体や測定用ケーブルなど)が持つ測定誤差要因
(方向性、ソースマッチ、ロードマッチ、周波数応答、アイソレーションといわれる誤差要因)
を多く含みますので、より高確度の測定を行うために、標準となる校正キットを使用してこれらの誤差要因を
予め測定し、取り除くことで基準を確立します。この作業を校正(Calibration)といいます。
校正実施後、DUT(被測定物)を接続し基準値との差から振幅や位相、およびインピーダンスの値を
得ることができます。したがって、この校正作業を行わないとDUTの正確な特性を得ることはできません。
S21(スルー接続時)
(画像はクリックして拡大可能)
参考:Sパラメータ
(画像はクリックして拡大可能)
どのような校正手法を用いればよいか?
DUT(被測定物)には、同軸コネクタが付いたもの、導波管、コネクタのないマイクロストリップの基板や
チップ部品などさまざまな伝送路の部品、コンポーネントがあります。
校正手法はこれらDUTの測定に適した手法を選びます。
以下の表は伝送線路と適した校正方法の関係を示したものです。
伝送線路 |
校正方法 |
|||
SOLT Short/Open/Load/Thru |
LRL(TRL) Line/Reflect/Line |
LRM(TRM) Line/Reflect/Matched |
SSLT(オフセットショート) Short/Short/Load/Thru |
|
同軸線路 |
◎ |
○ |
○ |
× |
導波管線路 |
× |
○ |
△ |
◎ |
マイクロストリップライン |
○ |
◎ |
○ |
× |
校正手法に関する詳細な説明につきましては、こちらをご覧ください。
→ 「第14回 ネットワークアナライザ測定前"校正"の手法について」
※本記載内容は2017年8月1日現在のものです。
