通信デバイスの開発製造に必須! "BERT" とは?
1. BERTとは
BERTとは、Bit Error Rate Tester(ビット誤り率検出器)の略で、
PPG(Pulse Pattern Generator パターン発生器)とED(Error Detector 誤り検出器)の事です。
ただしED(Error Detector 誤り検出器)単体の事をBERTと呼ぶケースもありますので、注意が必要です。
ディジタル伝送システムの様々な通信デバイスが、送信データに対して発生するエラーレート(ビット誤り率)を評価する測定器です。
通信デバイスによるエラーの発生が多ければ、安定した通信を実現することができません。
BERTは、高品質の通信デバイスを開発、製造するために必須の測定器です。
BERTは、図に示したように、PPG(Pulse Pattern Generator パターン発生器)から、
測定対象であるDUT(Device Under Test 被測定物)へ高速のビット列データを入力し、
DUTを通過して出力されたビット列データをED(Error Detector)に入力することで、エラーの有無をビット誤り数やビット誤り率として表示します。
図1 BERTとは
(画像はクリックして拡大可能)
2. BERT機器の市場
BERTの測定対象は様々です。
電気信号を光信号に変換したり、光信号を電気信号に変換する光モジュールや光トランシーバ。伝送媒体である光ファイバ。
伝送装置内のバックプレーンと呼ばれる機器内伝送、PON(Passive Optical Network)と呼ばれる光伝送システム。
最近ではAOC(Active Optical Cable)と呼ばれる光モジュールと光ファイバが一体となったデバイスが測定の対象です。
これら高速通信に欠かせないデバイスは、高速のビット列に対して高い信頼性を持たねばなりません。
図2 BERT機器の市場
(画像はクリックして拡大可能)
3. BERT機器と方式測定器との違い
一方で通信システムを評価する機器に、EtherテスタやSDH/SONETテスタなどの方式測定器があります。
通信システムを評価するBERTと方式測定器の違いはなんでしょうか?
一言で言えば、方式測定器は伝送装置を測定対象とし、BERTは伝送装置、伝送システムを構成する要素(デバイス)を評価します。
伝送機器はEtherやSDH/SONETなどの決められたフレームによって通信が実施されており、
方式測定器はフレーム付の実伝送信号を測定対象である伝送機器に送り、エラーレートなどの各種評価を通じて伝送装置の性能を評価します。
規格に沿った性能試験ですので、測定ビットレートや信号レベルは規格で決まった値を使うので固定です。
一方BERTは、伝送装置を構成するデバイスや伝送路を評価するため、DUTの性能限界を評価することが目的ですので、
ビットレートも可変、信号レベルも可変となります。
またDUTにインプットするビット列は、フレームが不要な場合や必要な場合などDUTによって異なります。
図3 BERT機器と方式測定器の違い
(画像はクリックして拡大可能)
※本記載内容は2017年5月1日現在のものです。