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こんなに簡単 サイトマスタ(ケーブル・アンテナ・アナライザ)


  ~2つの周波数帯域を同時に測定 ~


201809測定のツボ図1.jpg



1. はじめに


携帯電話をはじめ様々な無線通信が広く利用されていますが、無線機から出力された電波は効率良く

伝送線路(同軸ケーブルや導波管)を通過し最終的にアンテナから出力されることが望まれます。

しかし、工事不良、風雨や昆虫を含む動植物の被害によりその性能が失われる事があります。

サイトマスタは、これら伝送線路やアンテナが正常に機能しているのか確認するため、VSWRやケーブル損失の測定、

そしてVSWRが悪化している場所を調べることが出来る測定器です。


サイトマスタ(ケーブル・アンテナ・アナライザ) 型名:S331LS3xxE(S331Eなど)S820ES331P には、

より効率的に測定をするための便利な機能が有りますが、意外とご存知ない方もいらっしゃるようです。
そこで今回は、S331L サイトマスタの測定画面を例に、2つの周波数帯域を同時に測定出来る

「ちょっと便利」な機能をご紹介します。



2. ひとつの同軸ケーブル/アンテナで2つの周波数帯域をカバーする場合の一般的な測定設定方法


例えば、帯域A(例:550MHzから690MHz)、そして、帯域B(例:800MHzから950MHz)の

2つの周波数帯域におけるVSWRを測定したいとき、次のような手順で測定していないでしょうか?

 

 ① 測定器のスタート周波数とストップ周波数を帯域Aに設定する。

 ② 校正(オープン/ショート/ロード、または、InstaCal)を実施

 ③ 被測定物を接続し、マーカを使用して周波数範囲の最大VSWR値を測定する。

 ④ 測定器のスタート周波数とストップ周波数を帯域Bに設定する。

 ⑤ 校正(オープン/ショート/ロード、または、InstaCal)を実施

 ⑥ 被測定物を接続し、マーカを使用して周波数範囲の最大VSWR値を測定する。



 3.  そこで、次のような手順をご紹介します。


  ① 校正:FlexCALを使用して校正を行います。FlexCALは、周波数設定を変更してもCal(校正)がOFFになりませんので、

      一度校正すれば、その後は測定したい周波数に自由に設定変更できます。

  ② 測定器のスタート周波数とストップ周波数を帯域Aと帯域Bの両方がカバーできるように設定する。
     上の例では、550MHz950MHz

  ③ マーカ #1#66個を次項で説明するように設定し、マーカ#5とマーカ#6を読めばそれぞれの帯域における最大値が読み取れます。

  ④ この設定をショートカットキーに割り付ければ、次回からはボタン一つで同じ設定を読み出しできます。


次にこの手順のポイントを解説します。



4.  FlexCAL


サイトマスタの下限周波数から上限周波数まで、最大測定ポイント数を使い、全帯域で校正を行います。

校正ポイントが荒くなりますが、その間は補間されます。


操作:画面下部のメニュー 

201809測定のツボ図2.png


ここで、「Flex」に緑のマークが点くようにしてください。 あとは、画面の指示に従って校正を行います。

校正後、スタート周波数とストップ周波数を帯域Aと帯域Bの両方がカバーできるように設定します。



5. マーカ(Marker)


考え方は、次の通りです。

Marker 1 を帯域Aの下限周波数に設定。 Marker 2 を帯域Aの上限周波数に設定。

Marker 3 を帯域Bの下限周波数に設定。 Marker 4 を帯域Bの上限周波数に設定。

Marker 5 が、帯域AMarker 1 Marker 2 の間)の最大値

Marker 6 が、帯域BMarker 3 Marker 4 の間)の最大値



201809測定のツボ図3.png



操作:画面下部のメニューでM1M4を各帯域の上限下限周波数に設定します。

201809測定のツボ図5.png

また、同様にM5M6ONにします。


201809測定のツボ図6.png

キーでマーカテーブルを表示します。

M5(または、M6)を選択した状態で、メニュー下段「Marker Search」を開き 


201809測定のツボ図7.png 

Tracking」をOn に、そして


201809測定のツボ図8.png

M6の場合は、「M3 & M4」)キーを押して最大値を求めます。


*画面表示はS331Lの例です。他機種の場合は、各取扱説明書をご参照ください。



6. ワンタッチ、ショートカットキーで設定読み出し


この設定をショートカットキーに割り当てておくと、次回からボタン一つで同じ設定を読み出せます。

繰り返し同じ測定をする場合は、とても便利です。


①設定を保存  SaveメニューからSetupを保存します。

②保存した設定をショートカットキーに割り付け

 Recallメニューで保存したファイル名を5秒程度長押しします。

 その後、割り当てるショートカットキーを押すとアイコンが作成されます。

  次回からは、このアイコンを押すだけで、保存したSetupファイルが呼び出しされ、所望の測定を直ぐ開始できます。


201809測定のツボ図4.png


*画面表示はS331Lの例です。他機種の場合は、各取扱説明書をご参照ください。



7. まとめ


今回は、サイトマスタをより効率的にご使用頂くために 

「一度校正を行えば測定周波数を変えても校正を維持するFlexCAL」、

「2つの周波数帯域における最大VSWRを一度に測定する便利な方法」、

「ショートカットキーを活用し測定設定を1ボタンで呼び出す方法」、

これら3点をご紹介いたしました。

これにより無線システムに使用されている同軸ケーブルなどの伝送線路やアンテナの建設/保守の効率化にお役立て頂ければ幸いです。



 ※本記載内容は2018年9月1日現在のものです。


◆ お問い合わせ先
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アンリツ株式会社 通信計測カンパニー グローバルセールスセンター 通信計測営業本部 第1営業推進部

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