

この二つの測定器は外観だけでなく、測定結果も大変似ています。測定結果の横軸は周波数、縦軸は振幅で表示されています。
しかし、ベクトルネットワークアナライザとスペクトラムアナライザでは、振幅の測定値が相対値と絶対値という違いがあります。
図2 測定画面比較
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ベクトルネットワークアナライザ:内蔵信号源を基準として、DUT(測定対象)との相対値測定
スペクトラムアナライザ:入力された信号の絶対値測定
ベクトルネットワークアナライザの用途は、デバイスやコンポーネントの振幅や位相の周波数特性の評価です。
どのようにデバイスやコンポーネントを測定しているかというと、
ベクトルネットワークアナライザは内部に送信部と受信部を持っており、
送信部から出力される信号を基準にDUT(測定対象)との相対値測定を行っています。
よって測定結果は周波数と振幅の相対値(単位:dB)を表示しています。
スカラネットワークアナライザは振幅のみ測定、ベクトルネットワークアナライザは振幅と位相の測定が可能です。
スペクトラムアナライザの用途は、入力された信号の周波数、振幅の測定、高調波測定などです。
スペクトラムアナライザは、ベクトルネットワークアナライザのように内部に送信部は無く、受信部のみで構成されており、
測定結果は周波数と振幅の絶対値(単位:dBm)にて表示をしています。
図3 構造
(画像はクリックして拡大可能)
ベクトルネットワークアナライザを用いた測定の一例を記載します。(図3参照)
①送信部と受信部を同軸ケーブル等で、直接接続して相対値測定の”基準”を取ります。
②①の同軸ケーブル等を外して、その間にDUTを接続して、①との相対値を測定します。
ちなみに図3にありますように、ベクトルネットワークアナライザは、送信部と受信部を同じ基準発振器を使用していますので、
周波数差は発生しませんが、スペクトラムアナライザと測定対象物の周波数の基準は、異なります。
ですので、スペクトラムアナライザの基準発振器の周波数精度は、測定対象物のものよりも良いもので測定しないと、
正しい測定はできないことになります。
※本記載内容は2017年11月1日現在のものです。